「豆乳や豆腐って、家で手作りできるものなの?」そう思ったことはありませんか。原材料が見える安心感や、できたてならではの風味に惹かれつつも、「難しそう」「にがりの分量がわからない」と一歩踏み出せずにいる方も多いはずです。
この記事では、大豆から豆乳を作り、その豆乳を豆腐に仕上げるまでの一連の手順を、浸水時間・加熱温度・にがりの分量まで具体的な数値でお伝えします。よくある失敗の原因と対処法、余った「おから」の活用先までまとめて確認できます。
なお、豆乳を乳酸菌で発酵させる豆乳ヨーグルトの作り方については別記事で扱っており、本記事はその話とは別物です。本記事は発酵させず、加熱とにがりで豆乳・豆腐を作る手順に絞ってお伝えします。特別な機材は必要ありません。順番に確認していきましょう。
豆乳・豆腐は大豆さえあれば家庭で作れる
「豆乳メーカーのような専用機械がないと作れないのでは」と思われがちですが、実際は鍋とミキサーがあれば家庭でも十分に作れます。まずは豆乳・豆腐という2つの食品がどう関係しているのかを整理しておきましょう。

特別な機材がなくても鍋とミキサーで作れる
豆乳・豆腐作りに専用の豆乳メーカーは必須ではありません。家庭にあるミキサー(またはフードプロセッサー)、鍋、こし布(さらしやガーゼ)があれば、乾燥大豆から豆乳・豆腐まで一通り作ることができます。
道具をそろえる手間がかからない分、思い立ったタイミングで始めやすいのも手作りのメリットです。特別なレシピ本を読み込まなくても、後述する4ステップさえ押さえれば再現できます。
豆乳と豆腐は同じ大豆から生まれる仲間食品
豆乳と豆腐は別々の食品に見えますが、実は同じ大豆・同じ工程の途中と最後にあたる仲間食品です。大豆を浸水し、すりつぶし、加熱して搾ったものが「豆乳」であり、その豆乳ににがりを加えて固めたものが「豆腐」になります。
つまり、豆乳作りの手順をマスターすれば、そこから続けて豆腐まで作れるということです。本記事では豆乳作りの4ステップと、そこから豆腐に仕上げる工程を続けて解説していきます。
手作りは原材料が見える安心感がある
市販の豆乳・豆腐は手軽で便利ですが、手作りには使う大豆や水、にがりまで自分の目で確かめられる安心感があります。添加物の有無や大豆の産地にこだわりたい方、子どもと一緒に食育として取り組みたい方にも向いている調理です。
もちろん手作りには保存期間の短さという制約もありますが、その日食べる分・数日で食べきる分を作る前提であれば、味・風味の面でも満足度の高い体験になります。
材料と道具は大豆・水・にがりの3つが基本
「何を用意すればいいのか」という疑問には、大豆・水・にがりの3つが基本と答えられます。特別な材料は必要なく、近所のスーパーや専門店でそろえられるものばかりです。

大豆は乾燥大豆200gで豆乳約900ml分作れる
目安として、乾燥大豆200gからは豆乳が約900ml前後できます。豆腐まで作る場合は、豆乳500mlあたり木綿豆腐1丁程度が目安になるため、家族の人数に合わせて大豆の量を調整しましょう。
大豆は国産・輸入どちらでも作れますが、粒がふっくらとして傷みのない新しいものを選ぶと、風味のよい豆乳に仕上がりやすくなります。
ミキサーと鍋・こし布があれば十分
道具として必要なのは、大豆と水をすりつぶすミキサー(またはフードプロセッサー)、加熱用の鍋、そして豆乳とおからをこし分けるための布(さらしやガーゼ、なければ目の細かいふきん)です。
焦げつきやすい工程があるため、鍋は厚手で底が広いものを選ぶと扱いやすくなります。こし布は大きめのボウルにセットして使うと、こし作業がスムーズです。
豆腐を作るならにがりも用意する
豆乳だけを作るなら大豆と水があれば十分ですが、豆腐まで作る場合はにがり(塩化マグネシウムを主成分とする凝固剤)を用意しましょう。にがりはスーパーの豆腐コーナーや製菓材料店、通販で購入できます。
にがりは食品を固めるための調味料の一種ですが、原液は塩化マグネシウムなどが濃縮された状態です。そのまま口に入れたり大量に飲んだりするものではないため、豆腐作りに使う分だけを取り分け、残りは子どもの手が届かない場所で保管しましょう。
豆乳の作り方は浸水から搾るまで4ステップ
「結局、何をどの順番でやればいいの?」という疑問には、浸水→撹拌→加熱→こす、の4ステップと答えられます。ひとつずつ丁寧に進めれば、初めてでも失敗しにくい工程です。
大豆を一晩水に浸すのが最初のステップ
最初のステップは、乾燥大豆をたっぷりの水に一晩(8〜12時間程度)浸すことです。大豆は吸水すると2倍以上の大きさに膨らむため、大豆の量に対して3倍程度の水を用意しておきましょう。
夏場は常温だと発酵・傷みが進みやすいため、冷蔵庫に入れて浸水させると安心です。浸水後は大豆の中心までふっくらと戻っているか、指でつぶして確認してみてください。
大豆と水をミキサーで撹拌し生呉を作る
浸水させた大豆と新しい水をミキサーに入れ、なめらかになるまで撹拌します。大豆1に対して水2〜2.5程度の割合が目安です。この撹拌した大豆と水のペースト状のものを「生呉(なまご)」と呼びます。
粒が残っていると搾ったときに豆乳の量が減ってしまうため、粒感がなくなりトロトロの状態になるまでしっかり撹拌しましょう。
生呉を鍋で加熱し焦がさず10分ほど煮る
生呉を鍋に移し、中火にかけます。沸騰直前から吹きこぼれやすいので、木べらで鍋底からこまめにかき混ぜながら、焦がさないように注意しましょう。沸騰したら弱火にして、10分ほど煮込みます。
加熱が不十分だと青臭さが残りやすく、加熱しすぎると焦げつきやすくなるため、鍋底からしっかり混ぜ続けることがポイントです。
布でこして豆乳とおからに分ける
加熱した生呉が熱いうちに、こし布を敷いたボウルに流し入れ、布の口をしぼって搾ります。この工程で、布を通過した液体が「豆乳」、布に残った固形分が「おから」に分かれます。
やけどに注意しながら、布の中の生呉をトングやしゃもじで押さえ、しっかり水分を絞り切ると、豆乳の量を無駄なく確保できます。ここまでで、そのまま飲む・料理に使う豆乳が完成です。豆乳を飲み物やスープとして楽しみたい場合は、分離を防ぐコツをまとめた別記事もあわせて参考にしてみてください。
豆腐の作り方は豆乳ににがりを加えて固める
「せっかくなら豆腐まで作りたい」という方は、できたての豆乳を70〜80℃に温め直し、にがりを加えるところから始まります。温度とにがりの分量を守れば、家庭でも十分に固められます。

豆乳を70〜80℃に温めてからにがりを加える
搾った豆乳を鍋に戻し、再び70〜80℃程度まで温めます。沸騰させるとにがりが均一に反応しにくくなるため、温度計があれば計測しながら加熱すると失敗が減ります。
にがりの分量は、豆乳500mlに対して小さじ2杯程度、豆乳1Lに対して大さじ1と1/2杯程度が目安です。にがりは同量程度の水で薄めてから加えると、豆乳全体に行き渡りやすくなります。
にがりを加えたら大きくかき混ぜず静かに置く
にがりを加えたら、鍋底から2〜3回大きく一混ぜし、その後はふたをして10分ほど静かに置いておきます。ここで何度もかき混ぜてしまうと、固まりかけた豆乳の組織が壊れ、なめらかな豆腐になりにくくなります。
10分ほど置くと、豆乳が白濁したまま固まり、透明な水分(ホエー)が分離してくるのが確認できます。これが豆腐が固まったサインです。
型箱や布に流し重石をのせて水切りする
固まった豆乳を、穴の空いた豆腐用の型箱(なければこし布を敷いたザルでも代用可)に静かに流し込みます。布で表面を覆い、上から軽めの重石(皿や水を入れたボウルなど)をのせて、10〜20分ほど水切りをします。
重石が重すぎたり時間が長すぎたりすると水分が抜けすぎて硬くなるため、様子を見ながら好みの硬さに調整しましょう。型から出して冷水にさらせば、豆腐の完成です。
豆乳・豆腐作りでよくある失敗と対処法
「うまく固まらなかった」「なんだか青臭い」といった失敗は、初めての手作りではよくあることです。原因のほとんどは温度・分量・加熱の3点に集約されるので、順番に見直してみましょう。

分離・固まらない原因は温度とにがりの分量
豆腐がうまく固まらない場合、多くは豆乳の温度が70〜80℃の目安から外れているか、にがりの分量が少なすぎることが原因です。温度が低すぎるとにがりが反応しにくく、逆に沸騰させすぎても均一に固まりにくくなります。
分量通りに加えても固まりが弱い場合は、次回ににがりをやや多めにする、温度計で温度を正確に管理するなど、少しずつ調整してみてください。
焦げ付き・青臭さは加熱と撹拌で防げる
生呉を加熱する工程で鍋底が焦げつくと、豆乳全体に焦げ臭さが移ってしまいます。中火〜弱火でこまめにかき混ぜることが焦げ付き防止の基本です。
一方、青臭さが気になる場合は、加熱時間が短く大豆の生っぽさが抜けきっていないことが多いため、沸騰後の弱火加熱を10分程度しっかり確保しましょう。
固さは水切り時間の長さで調整できる
豆腐の固さは、水切りの時間と重石の重さで調整できます。やわらかい絹ごし風に近づけたいなら水切りを短めに、しっかりした木綿豆腐に近づけたいなら水切りを長めにするのが基本です。
一度で理想の固さにならなくても、次回に時間や重石を調整すれば、好みの食感に近づけていけます。
作った豆乳・豆腐とおからの保存・活用法
「せっかく作ったものを、どう保存すればいいのか」も気になるところです。手作りの豆乳・豆腐・おからは市販品より保存が利きにくいため、早めに食べきることを前提に管理しましょう。

豆乳は冷蔵で当日〜翌日中に飲み切るのが目安
手作りの豆乳は保存料を使っていないため、市販品よりも傷みやすい食品です。清潔な容器に移して冷蔵保存し、当日〜翌日中を目安に飲み切るようにしましょう。
見た目や匂いに違和感がある場合は、期限内であっても口にせず廃棄してください。
豆腐は水を張った容器で冷蔵し数日以内に使う
作った豆腐は、水を張った清潔な容器に入れて冷蔵保存します。水は1日1回を目安に取り替えると、鮮度を保ちやすくなります。手作り豆腐も保存料を含まないため、数日以内に食べきるのが安心です。
残ったおからはパウダーや料理に活用できる
豆乳を搾ったあとに残るおからは、生のままだと傷みやすいものの、食物繊維を含む食材として活用できます。炒り煮やハンバーグのかさ増しなど、その日のうちに料理に使い切るのが基本ですが、乾燥させてパウダー状にすれば保存性を高めて長く活用することもできます。
おからパウダーとしての具体的な使い方や分量目安は、飲み物・ヨーグルト・料理への活用法をまとめた記事で詳しく紹介しています。副産物のおからまで無駄なく使い切れば、手作りの満足度もさらに高まります。
関連記事
手作りを続けて日々の食生活に取り入れる
「一度作ってみて楽しかったけれど、続けられるか不安」という方もいるでしょう。無理に毎回一から作る必要はなく、できる範囲で大豆料理を生活に取り入れていく視点を持てば十分です。

大豆料理を無理なく増やすところから始まる
手作りの豆乳・豆腐は、毎回大豆から仕込まなくても、月に数回、時間のあるときに作る形で十分に楽しめます。まずは1回作ってみて、自分の生活リズムに合う頻度を見つけていきましょう。
浸水は前日の夜に仕込んでおけば、当日の作業時間は加熱・撹拌・水切りだけで済むため、休日の朝など時間に余裕があるタイミングを選ぶと取り組みやすくなります。
豆乳は普段の飲み物やスープにも活かせる
作った豆乳は、そのまま飲むだけでなく、スープや鍋の材料としても活用できます。ただし市販の無調整豆乳と同様、加熱しすぎると分離しやすい性質があるため、料理に使う際は温度管理に注意が必要です。
具体的な分離を防ぐコツや、和風・中華・洋風それぞれのアレンジについては、豆乳スープ・豆乳鍋の作り方をまとめた記事で詳しく紹介しています。
大豆の栄養を毎日の腸活習慣に役立てる視点も持てる
大豆はたんぱく質や脂質を豊富に含む栄養価の高い食材として知られており、豆乳・豆腐という形で日々の食卓に取り入れやすい食品です。手作りに限らず、市販品も上手に活用しながら、大豆料理を無理のない範囲で習慣にしていくとよいでしょう。
日々の食事だけでは腸活の視点が物足りないと感じる方は、食品以外の選択肢としてドラッグストアで買える腸活サプリを比較した記事も参考にしてみてください。
関連記事
まとめ
大豆から手作りする豆乳・豆腐の作り方についてお伝えしました。
- 豆乳・豆腐は同じ大豆から作れる仲間食品で、専用機械がなくても鍋とミキサーで作れる
- 豆乳作りは「浸水(一晩)→撹拌(生呉)→加熱(10分)→こす」の4ステップが基本
- 豆腐作りは豆乳を70〜80℃に温め、にがり(豆乳500mlに小さじ2程度)を加えて静かに固める
- 固まらない・分離する失敗は、温度とにがりの分量を見直せば改善しやすい
- 手作りの豆乳・豆腐・おからは保存が利きにくいため、早めに食べきることを前提に管理する
まずは大豆を一晩水に浸すところから、無理のない範囲で試してみてください。

