発酵性食物繊維とは?短鎖脂肪酸を作るしくみと食品をやさしく解説|どう摂ればいい?

腸活・腸内環境

「食物繊維は体にいいと聞くけれど、最近よく見る『発酵性食物繊維』はふつうの食物繊維と何が違うの?」そんな疑問を持ったことはありませんか。水溶性・不溶性という分け方はなんとなく知っていても、「発酵性」という言葉は聞き慣れず、どう摂ればいいのか迷ってしまう方も多いはずです。

この記事では、発酵性食物繊維の意味や体の中で起きているしくみから、実際に多く含む食品、お腹に負担をかけない摂り方のコツ、続けた先にある腸の変化までを順番に整理します。

この記事でわかること✓ 発酵性食物繊維とはどんな食物繊維か✓ 短鎖脂肪酸が作られるしくみと働き✓ どの食品をどれくらい摂ればいいか

難しい言葉は一つずつかみ砕きながら、今日の食事から取り入れられるところを一緒に確認していきましょう。

発酵性食物繊維とは、腸内細菌のエサになる食物繊維

「発酵性食物繊維って結局どういうもの?」と聞かれたら、一言で言うと「大腸にすむ腸内細菌によって分解・発酵される食物繊維」のことです。水溶性・不溶性とは異なる切り口の分類であること、発酵食品とは別物であることを順番に整理します。

食物繊維を含む食材が並ぶ食卓を俯瞰したイメージ

腸内細菌が分解できるかどうかで決まる分類

発酵性食物繊維とは、人の消化酵素では消化されずに大腸まで届いた食物繊維のうち、腸内細菌がエサとして利用できるものを指します。反対に、腸内細菌に分解されにくく、そのまま便のかさを増やす方向で働く食物繊維は「難発酵性食物繊維」と呼ばれ、区別されています。「発酵されやすいかどうか」という軸は、次に説明する水溶性・不溶性の分け方とは別の視点だという点がポイントです。

水溶性・不溶性とは分類の軸が違う

食物繊維は水に溶けるかどうかで水溶性食物繊維・不溶性食物繊維に分けられますが、発酵性食物繊維はこの分類とぴったり重なるわけではありません。水溶性食物繊維の多くは腸内細菌に発酵されやすい一方、不溶性食物繊維の中にも大麦のβ-グルカンのように発酵されやすい種類があります。つまり「水溶性だから発酵性、不溶性だから難発酵性」と単純に決まるわけではないということです。近年、腸内フローラや短鎖脂肪酸に関する研究が進んだことで、水溶性・不溶性という従来の切り口だけでなく「発酵されるかどうか」という機能面からも食物繊維を捉え直す考え方が広まってきました。食物繊維全体の種類や1日の摂取量の目安については、姉妹記事「食物繊維とは」で詳しく整理していますので、まずは全体像から知りたい方はあわせてご覧ください。

発酵食品とは別物、勘違いしやすい注意点

発酵性食物繊維と発酵食品(納豆・ヨーグルト・味噌など)は名前が似ているため混同されがちですが、まったく別の存在です。発酵食品はすでに微生物の力で発酵が進んだ「食品」を指すのに対し、発酵性食物繊維は食べたあとに自分の腸内細菌によって発酵される「食物繊維の性質」を指します。「発酵性食物繊維を摂る=発酵食品を食べること」だと思い込んでいる方も多いため、まずこの違いを押さえておくと、このあとの内容が理解しやすくなります。

発酵性食物繊維が腸で発酵し短鎖脂肪酸を作る

「発酵性食物繊維を摂ると、体の中で実際に何が起きているの?」という疑問に答えます。腸内細菌がエサにして作り出す短鎖脂肪酸という物質が、腸の環境を支えるカギを握っています。

お腹に手を当てて考える女性のイメージ

腸内細菌のエサとなり酢酸・プロピオン酸・酪酸を生む

発酵性食物繊維が大腸に届くと、そこにすむ腸内細菌(善玉菌)のエサとして利用され、酢酸・プロピオン酸・酪酸という3種類の短鎖脂肪酸が作られます。これらは食物繊維が腸内細菌によって分解される過程で生まれる小さなサイズの脂肪酸で、大腸内を酸性に保ち、善玉菌が増えやすく悪玉菌が増えにくい環境をつくります。3種類はそれぞれ役割が少しずつ異なり、酪酸は大腸の粘膜細胞のエネルギー源として使われやすく、酢酸やプロピオン酸は糖や脂質の代謝に関わる働きが知られています。

短鎖脂肪酸は腸のエネルギー源とバリアを支える

短鎖脂肪酸のなかでも酪酸は、大腸の粘膜細胞にとって主要なエネルギー源になると言われています。粘膜細胞が元気に働くことは、腸のバリア機能を保つうえでも土台となる部分です。また、短鎖脂肪酸によって大腸内が弱酸性に保たれると、酸性の環境を苦手とする悪玉菌が増えにくくなり、結果として腸内フローラ全体のバランスを整える方向に働きます。

発酵しにくい食物繊維とは働き方が異なる

一方、セルロースのように腸内細菌に分解されにくい難発酵性食物繊維は、水分を吸って膨らみ、便のかさを増やして腸を刺激し、排便を促す働きが中心です。短鎖脂肪酸を作る働きは限られているため、発酵性食物繊維とは体の中での役割分担が異なります。どちらか一方だけでなく、両方をバランスよく摂ることが、腸内環境全体を整えるうえでは大切です。

発酵性食物繊維を多く含む身近な食品

「実際にどの食品を食べればいいの?」という疑問に、ジャンル別の代表的な食品と目安量で答えます。特別な食材を用意しなくても、日々の食事に少し意識を向けるだけで取り入れやすいものばかりです。

もち麦ごはんと海藻の味噌汁が並ぶ食卓のイメージ

もち麦・大麦・オーツ麦など主食で摂れる

もち麦や大麦、オーツ麦(オートミール)には、β-グルカンという発酵性食物繊維が豊富に含まれています。白米に混ぜて炊く場合は、大さじ2〜3杯(20〜30g程度)のもち麦を加えるだけで手軽に取り入れられ、もちもちとした食感がプラスされて満足感も得やすくなります。オートミールは牛乳やスープでふやかして食べると、ふだんの朝食に無理なく組み込めます。

大豆・ごぼう・果物にも豊富に含まれる

大豆製品(納豆・豆腐・きなこ)やごぼう、りんご・バナナといった果物にも、発酵されやすい食物繊維が多く含まれています。ごぼうは100gあたり食物繊維が5.7g程度含まれる代表的な野菜で、きんぴらや味噌汁の具にすると量を摂りやすくなります。りんごは皮ごとすりおろしたり、バナナはそのまま1本食べたりと、間食代わりに取り入れやすいのも魅力です。

海藻・きのこ・イヌリン系食品も選択肢

昆布・わかめ・もずくなどの海藻類、しいたけ・えのき・しめじなどのきのこ類、玉ねぎやごぼうに含まれるイヌリンも発酵性食物繊維の供給源です。海藻は食物繊維含有量がとくに多いことで知られ、味噌汁やスープに乾燥わかめを加えるだけでも一品プラスになります。きのこ類は炒め物や汁物に少量ずつ足しやすく、続けやすさの面でも取り入れやすい食材です。

ジャンルごとの目安量と取り入れ方を整理すると、次のようになります。

食品ジャンル代表的な食品目安量・取り入れ方
主食もち麦・大麦・オーツ麦ごはんに大さじ2〜3杯混ぜる
大豆・野菜・果物納豆・豆腐・ごぼう・りんご味噌汁の具や間食に1品加える
海藻・きのこ昆布・わかめ・しいたけ汁物やおかずに少量を継続的に足す

一度にすべてをそろえる必要はなく、まずは自分が続けやすいジャンルから1品選んで試してみると、無理なく習慣にしやすくなります。

発酵性食物繊維の摂り方とお腹への配慮

「どう摂ればいいの?お腹を壊したりしない?」という不安に答えます。摂り方のコツと、増やす際に気をつけたいポイントを確認しましょう。

食事中に水を飲む女性のイメージ

数種類を組み合わせて少しずつ増やすのが基本

1種類の食品に偏らず、主食・大豆製品・海藻・きのこなど数種類を組み合わせて摂ることが基本です。腸内細菌の種類は人それぞれ異なるため、食物繊維の種類を増やすことで、より多様な腸内細菌のエサになり、短鎖脂肪酸も作られやすくなります。

いきなり大量に摂るとお腹が張ることがある

ふだんあまり食物繊維を摂っていなかった方が急に量を増やすと、腸内細菌が一気に発酵を行うことでガスが増え、お腹が張ったりゆるくなったりすることがあります。もち麦ごはんを毎食大盛りにするような一気の増量は避け、まずは1日1品からはじめて、体の反応を見ながら少しずつ増やしていくのが安心です。水分をあわせてしっかり摂ることも、お腹の負担を減らすポイントです。

目安量と続けやすい取り入れ方

食物繊維全体の1日の目標量は成人男性で20g以上、女性で18g以上と定められています。この中で発酵性食物繊維を意識して増やすには、主食の一部をもち麦や全粒穀物に置き換える、味噌汁やスープに海藻・きのこを足すなど、毎日の食事に「もう1品」を意識するくらいの取り入れ方が、無理なく続けやすいでしょう。たとえば朝はもち麦ごはん、昼は納豆や豆腐、夜は海藻の味噌汁というように、1日の中で少しずつ食品ジャンルを変えていくと、味に飽きることなく続けやすくなります。

発酵性食物繊維を続けた先にある腸の変化

「実際に続けたら、体はどう変わっていくの?」という先の見えにくさに答えます。すぐに劇的な変化があるわけではありませんが、続けることで少しずつ実感できる変化があります。

すっきりした表情で朝を迎える女性のイメージ

数週間の継続で便通のリズムが整いやすくなる

発酵性食物繊維を意識して摂り続けると、数週間ほどで便の量やリズムが整いやすくなったと感じる方が多いようです。毎日決まった時間にすっきりしやすくなる、お腹の張りを感じる回数が減ってくる、便のかたさがバナナ状に近づいてくるといった変化は、腸内で発酵が進み、腸の動きが整ってきているサインのひとつと考えられます。焦らず、まずは2〜4週間を目安に続けてみることをおすすめします。

短鎖脂肪酸が増えるほど腸内フローラが安定していく

発酵性食物繊維を摂る習慣が続くと、腸内で短鎖脂肪酸が継続的に作られる環境が整い、善玉菌が優位な腸内フローラの状態が安定しやすくなっていきます。腸内環境が整うことは、日々の体調管理を支える土台のひとつとして意識されています。一時的に摂って終わりにするのではなく、日常の食事の中に組み込み続けることが、変化を実感するための近道です。

発酵性食物繊維×乳酸菌でさらに整えたい人へ

発酵性食物繊維(プレバイオティクス)と乳酸菌などの菌そのもの(プロバイオティクス)を組み合わせる「シンバイオティクス」という考え方があります。エサとなる発酵性食物繊維と、腸に届く菌の両方を意識することで、より腸内環境を整えやすくなるとされています。

食事だけで発酵性食物繊維とプロバイオティクスの両方を毎日バランスよく摂り続けるのは、簡単なようで意外とハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。忙しい日が続くと品数がどうしても偏りがちになり、続けることの難しさを感じる場面もあるはずです。

そんなときは、食事に腸活サプリを組み合わせるのもひとつの方法です。ドラッグストアで買える腸活サプリを比較した記事もあるので、続けやすいものを選ぶ参考にしてみてください。

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発酵性食物繊維のよくある質問

ここからは、発酵性食物繊維についてよく寄せられる疑問をQ&A形式で解消します。摂取量の目安から難発酵性食物繊維との違いまで、気になるポイントに沿って答えます。

疑問を思い浮かべる女性のイメージ

発酵性食物繊維は1日どれくらい摂ればいい?

発酵性食物繊維だけを対象にした明確な摂取基準は定められていませんが、食物繊維全体の目標量(成人男性20g以上・女性18g以上)を目安に、そのうちの複数の食品から発酵性食物繊維を意識して摂るとよいでしょう。もち麦・大豆製品・海藻・きのこなどを1品ずつ組み合わせるだけでも、無理なく目安に近づけられます。

発酵性食物繊維と発酵食品は何が違う?

発酵食品はすでに微生物の力で発酵が進んだ食品そのものを指すのに対し、発酵性食物繊維は食べたあとに自分の腸内で発酵する食物繊維の性質を指す言葉です。両者は別物ですが、発酵食品と発酵性食物繊維をあわせて摂ることで、菌とそのエサの両方を補いやすくなります。

難発酵性食物繊維とは何が違う?

難発酵性食物繊維は腸内細菌に分解されにくく、便のかさを増やして排便を促す働きが中心の食物繊維です。発酵性食物繊維のように短鎖脂肪酸を多く作り出す働きは限られていますが、どちらも腸の状態を整えるうえでは欠かせない存在のため、バランスよく摂ることが大切です。

お腹が張る・ゆるくなるときはどうすればいい?

発酵性食物繊維を増やしたタイミングでお腹の張りやゆるさを感じた場合は、量を一段階減らし、数日かけて体を慣らしながら少しずつ増やしていきましょう。症状が長く続く場合や、強い腹痛・血便を伴う場合は、食事の影響とは限らないため、自己判断せず医療機関に相談することも検討してください。

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まとめ

発酵性食物繊維とは、腸内細菌によって分解・発酵される食物繊維で、短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)を作り出すことで腸の環境を支えています。もち麦や大豆、海藻、きのこなど身近な食品から、数種類を組み合わせて少しずつ取り入れることが摂り方の基本です。

この記事のポイント

  • 発酵性食物繊維は腸内細菌のエサになり短鎖脂肪酸を作る食物繊維
  • 短鎖脂肪酸は腸のエネルギー源になり悪玉菌が増えにくい環境をつくる
  • もち麦・大豆・海藻・きのこなど複数の食品から少しずつ摂るのが基本
  • 急に増やすとお腹が張ることがあるため様子を見ながら増量する
  • 継続すると便通のリズムが整いやすくなり腸内フローラも安定していく

まずは今日の食事に、もち麦ごはんや海藻の味噌汁など、ひとつプラスしてみることからはじめてみましょう。

参考文献

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