ナットウキナーゼとは?納豆の酵素の正体と毎日の摂り方

腸活・腸内環境

「納豆は血液サラサラにいいらしいけど、ナットウキナーゼって結局何なの?」。健康診断で血圧や中性脂肪の数値が気になり始めた方や、家族の健康を意識するようになった方から、そんな声をよく聞きます。

この記事では、ナットウキナーゼの正体から、期待されている働き、加熱や食べる時間帯といった摂り方の工夫、そして薬を服用中の方が特に知っておきたい注意点まで、順番に整理していきます。

「血液サラサラ」という言葉が独り歩きしがちな成分だからこそ、過度な期待も不必要な不安も持たず、事実をひとつずつ確認していきましょう。

ナットウキナーゼとは?まず全体像から

「ナットウキナーゼって、そもそも何なのだろう」と感じる方も多いのではないでしょうか。結論からいうと、ナットウキナーゼは納豆のネバネバに含まれる酵素(体の中の反応を助けるたんぱく質の一種)の名前で、納豆菌そのものとは別物です。まずは名前と正体を整理していきましょう。

箸で持ち上げた納豆の粘り|ナットウキナーゼを含むネバネバのイメージ

納豆のネバネバに含まれる酵素のこと

ナットウキナーゼは、大豆を納豆菌で発酵させる過程で作られる酵素の一種です。納豆特有のあの粘り気の中に含まれており、1980年代に須見洋行氏によって見出された酵素です。名前に「ナットウ」と付いていますが、これは発見の経緯にちなんだ呼び方で、納豆にしか存在しないというわけではありません。

酵素とひとことで言っても種類は数えきれないほどあり、体の中でそれぞれ異なる役割を担っています。ナットウキナーゼは、その中でもたんぱく質を分解する働きを持つ酵素として知られており、この性質が「血液サラサラ」という言葉と結びつけて語られる理由になっています。

「納豆菌」とは別物、酵素と菌の違い

納豆について調べていると、「納豆菌」と「ナットウキナーゼ」がしばしば混同されます。納豆菌は大豆を発酵させる微生物そのもの、ナットウキナーゼはその納豆菌が発酵の過程で作り出す酵素です。いわば、納豆菌が「作り手」で、ナットウキナーゼは「作られたもの」という関係になります。

同じ納豆から摂れる成分でも、ビタミンK2や食物繊維など性質の異なるものが複数含まれています。納豆全体の栄養や効果については、納豆の栄養と効果でまとめて解説していますので、あわせてご覧ください。ここではナットウキナーゼという一つの酵素にしぼって、詳しく見ていきます。

ナットウキナーゼに期待されている働き

「結局、ナットウキナーゼは体にどう働くの?」という疑問にお答えします。血のめぐりに関わる成分として研究されてはいるものの、口から摂った酵素がそのまま血液中で同じように働くかどうかは、まだ研究段階という見方もあります。ここでは期待されている働きと、その限界を両方お伝えします。

大豆と納豆を並べた様子|発酵で生まれる成分のイメージ

血のめぐりに関わる成分として期待されている

ナットウキナーゼには、フィブリン(血の塊のもとになるたんぱく質)を分解する性質があることが、試験管内の実験や動物実験で確認されています。この性質から、血液の状態や巡りが気になる方に向けて、日々の食習慣に取り入れやすい成分として注目されてきました。

ただし、これはあくまで実験レベルで観察された性質です。納豆を食べることで体の中で同じ反応が起きるかどうかは、また別の話として考える必要があります。

「血液サラサラ」は研究段階という見方も

「血液サラサラ」という表現はよく使われますが、酵素は基本的にたんぱく質でできており、口から摂ると胃や腸で消化されてしまいやすい性質を持っています。ナットウキナーゼが消化の影響をどの程度受けずに腸まで届き、血液中で働くのかについては、ヒトを対象にした研究がまだ途上にあり、明確な結論は出ていません。

「食べればすぐ血液がサラサラになる」と決めつけるのではなく、「そういう性質を持つ成分として研究されている」くらいの距離感で捉えておくと、過度な期待をせずに付き合えるでしょう。感じ方や体質による個人差も大きいことを、あわせて知っておいてください。

血圧や巡り以外に研究されていること

ナットウキナーゼについては、血液の状態以外にもさまざまな角度から研究が続けられています。たとえば血圧との関連や、運動後の疲労感との関わりなどが研究テーマとして取り上げられることがあります。

いずれも研究段階にあるテーマで、特定の効果を保証するものではありません。「こういう可能性が探られている成分」として頭の片隅に置いておく程度でよいでしょう。

納豆から摂るときの食べ方とタイミング

「どうせ食べるなら、効果的な食べ方をしたい」という方に向けて、食べ方の工夫を紹介します。基本は加熱しすぎずそのまま食べること、そして量は1日1パックを目安にすることです。順番に見ていきましょう。

炊きたてご飯にのせた納豆|加熱しすぎない食べ方のイメージ

加熱しすぎず、そのまま食べるのがおすすめ

ナットウキナーゼは熱に弱い性質があり、70度前後の熱が加わると働きが弱まるとされています。そのため、炒め物や汁物に使うよりも、そのままご飯にのせたり、冷奴に添えたりと、加熱しない食べ方のほうが酵素の性質を保ちやすいといえます。

とはいえ、納豆チャーハンや味噌汁の具として楽しむ食べ方が悪いわけではありません。たんぱく質や食物繊維といった他の栄養は加熱しても摂れますので、「絶対に加熱してはいけない」と気負わず、日によって食べ方を変えても大丈夫です。

「夜に食べると良い」と言われる理由と根拠

「納豆は夜に食べたほうがいい」という話を耳にしたことがある方も多いでしょう。これは、日中に比べて就寝中は体を動かす機会が減り、血液の巡りがゆるやかになりやすい時間帯だという考え方に基づいています。そのタイミングに合わせて、夕食に納豆を取り入れる方が多いようです。

一方で、朝食に食べたからといって栄養価そのものが変わるわけではありません。忙しい朝はご飯のお供に、ゆっくり食べられる夜は一品として、ご自身の生活リズムに合わせて選んでいただいて構いません。

1日1パックを目安に続ける

納豆を食べる量に迷ったら、1日1パック(約40〜50g、小鉢1皿分)を目安にするとよいでしょう。ナットウキナーゼの働きの強さは「FU」という単位で表されることがあり、市販の納豆1パックにはおおよそ2,000FU前後含まれているとされています。

多く食べればそれだけ効果が高まるというものではありません。毎日でなくても、3日に1回でも続けやすいペースを見つけることのほうが大切です。まずは無理のない範囲から始めてみてください。

サプリより、まず納豆から摂るという考え方

「サプリで手軽に摂ったほうが早いのでは」と思う方もいるかもしれません。当サイトでは、まずは食品である納豆から摂ることを基本の考え方としておすすめしています。理由を順に説明します。

市販の納豆パック|食品から摂るイメージ

食品なら他の栄養も一緒に摂れる

納豆はナットウキナーゼだけを含む食品ではありません。良質なたんぱく質、食物繊維、ビタミンK2、大豆イソフラボンなど、さまざまな栄養を一度に摂れる点が食品ならではの強みです。中でも食物繊維は腸内細菌のえさになるとされ、腸を整える食べ物を意識したい方にとっても、納豆は取り入れやすい選択肢のひとつといえるでしょう。

サプリメントは特定の成分だけを凝縮して摂れる手軽さがありますが、食品にはそれ以外の栄養素との組み合わせで働く側面もあります。どちらか一方に絞る必要はなく、まずは毎日の食事の延長として考えるのが無理のない始め方です。

サプリを選ぶときに確認したいこと

もしサプリメントを検討する場合は、あくまで食事を補う位置づけとして考えることをおすすめします。ナットウキナーゼを含むサプリメントの多くは、機能性表示食品としての届出を行っていない一般的な健康食品であることが多く、パッケージの表示内容や含有量を事前に確認しておくと安心です。

薬を服用中の方は、後述するとおり自己判断でサプリを取り入れず、必ず主治医や薬剤師に相談してください。当サイトでは特定のサプリ商品をおすすめするものではなく、あくまで食品からの摂取を基本としたうえで、サプリを検討する際の視点をお伝えしています。

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食べる前に知っておきたい注意点

「体によさそうだけど、気をつけることはないの?」という疑問にお答えします。最も重要なのは、血液を固まりにくくする薬を服用中の方への注意です。食べ過ぎへの配慮とあわせて確認しておきましょう。

小鉢に盛った納豆と和食の食卓|量を意識して取り入れるイメージ

ワルファリンを服用中の方は特に注意する

納豆を取り入れる前に、必ず知っておいていただきたいのが、ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)などの抗凝固薬を服用している方への注意です。納豆に含まれるビタミンK2には血液を固める働きに関わる性質があり、ワルファリンの効果を弱めてしまう可能性があります。このため、これらの薬を服用中の方は納豆を避けるよう指導されるのが一般的です。

これはナットウキナーゼではなく、納豆に含まれるビタミンK2による影響です。現在お薬を服用している方、持病のある方は、自己判断で食生活を変えたり薬をやめたりせず、必ず主治医や薬剤師に相談してから判断してください。心配な場合は、食べる前に医療機関へ確認することをおすすめします。

食べ過ぎず、日々の食事に取り入れる

ワルファリンなどの薬を服用していない方であっても、納豆を食べ過ぎることが望ましいわけではありません。プリン体や塩分(納豆に添付のたれを使う場合)も含まれるため、痛風や高血圧の治療を受けている方は、量について医師に相談しておくと安心です。

体にいいとされる食品でも、何かひとつに偏った食べ方は避け、日々の食事全体のバランスの中に取り入れることを意識してみてください。完璧を目指さなくて大丈夫です。まずは無理のない量から、少しずつ習慣にしていきましょう。

まとめ

  • ナットウキナーゼは納豆のネバネバに含まれる酵素で、納豆菌そのものとは別の存在です
  • 血液の巡りに関わる成分として研究されていますが、ヒトでの明確な根拠はまだ研究段階という見方もあります
  • 加熱しすぎず、1日1パック(約40〜50g)を目安に、無理なく続けることが大切です
  • サプリより、まずは食品である納豆から摂ることを基本の考え方としておすすめします
  • ワルファリンなど抗凝固薬を服用中の方は、必ず主治医・薬剤師に相談してから取り入れましょう

血液サラサラという言葉に振り回されすぎず、毎日の食事の一部として、無理のないペースで納豆と付き合っていただければと思います。

参考文献

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