亜鉛は、免疫の働きの維持に関わる栄養素のひとつです。風邪をひきやすい、味がぼんやりする。そう感じたときは、サインを確認して、食事に亜鉛の多い食品を1品足すところから始めてください。
サプリメントで補うのは、その次の選択肢です。この記事では、サインの見方、年代別の1日の目安、食品ごとの含有量、補うときの上限までを順に紹介します。
サインを確認して、食事に1品足す流れで見直せます
亜鉛が足りているかは、血液検査でも簡単には判断できません。そこで、日々の変化を手がかりにして、食事を見直す順番を決めておくと迷いません。
サインから食事、補う選択肢までの流れ
まず自分に当てはまるサインを探し、次に食事で足す食品を選び、それでも難しければ補う方法を考えます。全体の流れは次の表のとおりです。
| 見つけたサイン | 食事で足すもの | 補う選択肢 |
|---|---|---|
| 食事の味がぼんやりする | 牡蠣、豚レバー、牛もも肉 | 栄養機能食品の亜鉛(1日15mg以下) |
| 肌や口の中が荒れやすい | 赤身肉、チーズ、納豆 | 上限量を超えない範囲で |
| 風邪をひきやすいと感じる | 肉や魚介を1品足した食事 | 複数サプリの合計量に注意 |
どのサインも、亜鉛だけが原因とは限りません。当てはまる項目があっても、食事を見直すきっかけとして使ってください。
亜鉛が免疫に関わるしくみ
亜鉛は体内の細胞に広く存在し、免疫の働きの維持に関わるミネラルです。たんぱく質や遺伝子の材料づくりにも使われます。
免疫を支える栄養素はほかにもあります。ビタミンDとの関わりは、ビタミンDと免疫の関係でまとめています。
味と肌と風邪のひきやすさで、足りているかを見る
足りているかのサインは、味の感じ方、肌や口の中、風邪のひきやすさの3つで見ます。複数当てはまるなら、まず食事を見直す合図です。
味の感じにくさと、肌や粘膜の荒れ
亜鉛は味覚に関わる栄養素です。足りない状態が続くと、味や匂いの感じ方に影響が出ることがあります。
「いつもの味噌汁が薄く感じる」「濃い味つけを求めるようになった」という変化は、チェックの1つ目です。
2つ目は、肌や口の中の荒れです。亜鉛は皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素なので、口内炎ができやすい、小さな傷が治りにくいと感じたときも、食事を振り返る目安になります。
風邪をひきやすいと感じるとき
3つ目が、風邪をひきやすい、治りにくいという実感です。亜鉛は免疫機能の維持に関わるため、食事が偏っている時期は見直しの対象になります。
ただし、睡眠不足や疲れでも風邪はひきやすくなります。亜鉛だけに原因を決めつけず、生活全体をあわせて見てください。
免疫を整える順番は、免疫の仕組みと整える順番でまとめています。
サインが続くときは受診を
味の変化や傷の治りにくさが2週間以上続くときは、自己判断せず医療機関に相談してください。味覚の変化は、薬の影響や別の病気が背景にあることもあります。
亜鉛の栄養状態は、血液検査の数値だけでは決めきれません。感染症などでも数値が動くため、受診して全体を見てもらうのが確実です。
1日の目安は成人男性9.0〜9.5mg、女性7.0〜8.0mg
18歳以上の1日の推奨量は、男性で9.0〜9.5mg、女性で7.0〜8.0mgです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の値で、2020年版から変わっています。
年代別の推奨量
推奨量は、ほとんどの人が必要量を満たせる1日あたりの目安です。
| 年代 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 9.0mg | 7.5mg |
| 30〜49歳 | 9.5mg | 8.0mg |
| 50〜64歳 | 9.5mg | 8.0mg |
| 65〜74歳 | 9.0mg | 7.5mg |
| 75歳以上 | 9.0mg | 7.0mg |
妊娠中期・後期は+2.0mg、授乳中は+3.0mgが加わります。
足りなくなりやすい人
食事の量が減っている人は、亜鉛も足りなくなりやすい傾向があります。肉や魚介を食べる機会が少ない人、外食や加工食品が中心の人も同じです。
お酒を習慣的に飲む人や、お腹の病気で吸収が落ちている人も、亜鉛が不足しやすいことが知られています。
妊娠中や授乳中は必要量が増えます。サプリメントを足す前に、医師や管理栄養士に相談してください。
食事に足すなら、牡蠣・レバー・赤身肉・チーズ
亜鉛は牡蠣がとびぬけて多く、豚レバー、牛もも肉、チーズ、ナッツが続きます。牡蠣は100gで14.0mg入っていて、成人の1日の推奨量を1回の食事で超える量です。
食品ごとの亜鉛の含有量
文部科学省の食品成分表(生の100gあたり)では、次の順になります。

牡蠣を毎日食べるのは現実的ではありません。レバーを50g食べれば約3.5mg、赤身肉に添えるチーズやナッツを足す方法もあります。
肉の値は生のものです。焼くと水分が減るため、100gあたりの数字は大きくなります。
食事の選び方は、免疫を意識した食べ物・飲み物でも紹介しています。
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吸収を助ける組み合わせと妨げる組み合わせ
亜鉛は、食べた量がそのまま体に入るわけではありません。穀類や豆類に含まれるフィチン酸は、亜鉛と結びついて吸収を妨げます。
<p class=”hm-term”><b>用語メモ|フィチン酸</b>玄米や豆類などの植物性食品に含まれる成分で、亜鉛と結びつくと吸収されにくくなります。</p>
反対に、食事のたんぱく質は吸収を助けます。主食だけで済ませず、肉や魚介、卵を一緒に食べる形にすると、亜鉛を活かしやすくなります。
玄米や雑穀が主食の人は、おかずに肉や魚介を足してください。納豆や豆腐を食べるときも、同じ考え方で十分です。
補う選択肢は、上限量を知ったうえで選ぶ
食事でなかなか足せないときは、サプリメントで補う選択肢もあります。亜鉛は摂りすぎにも注意が必要なので、上限量を先に確認しておきます。
サプリで補うなら、1日15mgまでを目安に
食事で足りない分をサプリで補いたいとき、パッケージで見るところは2つです。1つは1日分に入っている亜鉛の量で、栄養機能食品として売られているものは15mg以下に収まっています。もう1つは注意書きで、「摂りすぎは銅の吸収を阻害するおそれがある」とあるのは、飲めば飲むほどよい栄養素ではないという合図です。
上限の目安は、食事とサプリを合わせて1日に男性40〜45mg、女性35mgです。マルチビタミンと亜鉛サプリを重ねると気づかないうちに近づくので、2つ以上飲むときは合計を一度足し算してみてください。
鉄のサプリと一緒に飲むと、亜鉛の吸収が下がることがあります。両方飲む方は、朝と夜のように時間をずらすと無駄がありません。
吸収の土台は腸、食事全体を見直す
食べた亜鉛を体に取り込むのは腸です。お腹の調子が乱れていると、食事を整えても活かしきれないことがあります。
亜鉛を足したうえで、腸の調子も気にかけたい方は、発酵食品や食物繊維を日々の食事に加えてみてください。具体的な食べ物は、腸内環境を整える食べ物12選で紹介しています。
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まとめ
亜鉛が足りているかは、味、肌や粘膜、風邪のひきやすさの3つを手がかりに、サイン、食品、補う選択肢の順で見直せます。
まずは、今日の食事に牡蠣、レバー、赤身肉、チーズのどれか1品を足してください。補うときは、1日の上限量を超えないことだけは押さえておきましょう。

